生理以外に時々不正出血がある。この場合でも一番多いのは、ホルモンバランスの崩れが原因となる場合です。この他には、子宮筋腫による出血、膣炎とびらんによる出血などがあります。ここではそれぞれについて簡単に解説をしておきます。
■子宮筋腫からの不正出血
子宮筋腫では筋腫分娩というケースが多いようです。このケースでは出血が時々あるというより出血が多くて止まらないという場合が多いようです。また、これは、筋腫のコブが子宮腔内から膣の方に向かって落ちてきたもので、小さなものでは膣式に切除することも可能ですが、大きなものではたいていの場合、子宮を全摘する必要があります。
筋腫分娩を除けば、子宮筋腫があるだけではあまり不正出血は起こさないものと考えて良いのですが、ストレスなどの原因によりいったん出血をすると、その出血がかなり多くなる要因にはなり得ますので、筋腫を持っていらっしゃる方はこのことを頭にとどめておいて欲しいと思います。
■びらんと膣炎からの不正出血
おりものが多いなと思っていたところへ不正出血があった、という場合、びらんと膣炎による出血という可能性が最も高いと考えられます。膣炎というのは、膣の中に細菌などが侵入したために起こる炎症のことを指しますが、膣炎が起こるとびらんから出血しやすくなります。したがってこの場合の治療は膣炎の治療が主体となり、抗生物質入り膣錠を用いるか、あるいは抗生剤の内服を行います。
びらんの出血に対しては塩化第二鉄などの塗布を行うことで止血することもできます。薬物の塗布だけでは止血できない場合は電気凝固ないしは冷凍凝固によりびらんの焼灼を行うこともあります。なお、更年期を過ぎてからの不正出血の場合には、たいていびらんは縮小していますので膣炎自体によって膣壁から出血している場合が多くなります。このようなケースでは女性ホルモンの不足が原因であることが多く、エストロゲンという女性ホルモンの入った膣錠を用いるか、またはエストロゲンの内服か注射を行うことで治癒します。このような膣炎は「老人性膣炎」もしくは「萎縮性膣炎」と呼ばれます。