なんか悲しい事件がありましたが、「不同意堕胎」というそうです。この言葉、初めて聞きました。これは、本来、医師が妊娠している女性の同意なく堕胎手術を行った場合をさす意味のようです。昔は、望まれない妊娠や遺伝的な問題などの理由から、妊娠している女性本人の同意もなく妊娠中絶することがあったのです。
堕胎は、母体保護法指定医が行うことが許されていて、指定医には届出義務などがあります。今回の事件は、胎児は自分の愛人の子だし、医師が母体保護法指定でもないし、不同意堕胎っていう言葉が本当に適切なのか分かりませんが、まずはこの疑いで調べることになったのでしょう。
本当であったなら、いずれ、もちろん医師法違反、薬事法違反、母体保護法違反、いろんな違反が調べられるのでしょう。(こんな事件が、ウソであって欲しい祈るばかりです。)使われたという薬は、分娩誘発などに使用する、ボクら産婦人科医には身近な薬剤です。今日も、破水してなかなか陣痛が来ない妊婦さんに陣痛誘発する説明をしました。
「これが今、マスコミで騒がれてるクスリなんですよね。」って。「同意してくださいますか?」「はい。」自分が使う薬が堕胎罪に使われるかもしれないと思うと、しんどくなります。悪いことしてないのに、なぜか後ろめたい気持ちになりました。「元気な赤ちゃんの産声を聞きたい。」あらためて、その想いが強くなりました。